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勉強に自信が持てない子への「できる理由」の見せ方

勉強に自信が持てない子への「できる理由」の見せ方

今日は「勉強に自信が持てない子に、どうやって『できる理由』を見せてあげるか」について書きます。

テストや宿題の前に
「どうせできない」「私、勉強むいてないし」
とポロッとこぼす子どもの言葉に、胸がチクッとすることはないでしょうか。

「もっと褒めたほうがいい」「成功体験を増やすといい」
という話はよく聞きますが、実際の家庭では

・褒めても「でも前もダメだったし」と返される
・ちょっとできただけでは、子どもが“できた感”を持ってくれない
・親のほうが、どう励ませばいいのか分からなくなる

こんなモヤモヤもありますよね。

この記事では、
「大丈夫、できるよ!」と気合で背中を押すのではなく、
子ども自身が「たしかに、ちょっとはできるかも」と思える
“根拠のある自信”を育てるヒントをまとめました。

目次

なぜ、子どもは「どうせできない」と思いやすいのか

失敗の記憶のほうが印象に残りやすいから

人は、うまくいかなかったことのほうが強く記憶に残りやすいと言われます。
子どもも同じで、

・テストで思ったより点が取れなかった
・先生に注意された
・友だちと比べて自分だけ遅かった

こうした経験が重なると、「自分=できない人」というイメージを持ちやすくなります。

例えば、算数のテストで何度か悔しい思いをした子は、
次のテストの前から「どうせ無理」と身構えてしまうかもしれません。
結果よりも「怖さ」のほうが先に立ってしまうのです。

つまり、
できない経験が続くと、まだやっていない段階から自信がしぼんでしまう、
ということです。

「すごい子」との比較が日常の中に入り込みやすいから

SNSや友だち同士の会話を通じて、
「勉強もスポーツもできる子」
「習い事をたくさん頑張っている子」
の情報が耳に入ってきます。

すると、

・自分はそこまで頑張れていない
・あの子みたいにできていない

という感覚だけが、ふくらんでいきます。

親が「うちはうちだよ」と伝えていても、
子ども自身の中では「すごい子」基準ができてしまい、
自分を低く見てしまうことがあります。

「努力すればできる」が、プレッシャーになることも

「努力すればできるようになるよ」という言葉自体は、前向きな言葉です。
ただ、子どもによっては

「できないのは、努力していない自分が悪いってこと?」

と受け取ってしまうことがあります。

特にまじめなタイプの子ほど、
「がんばれていない自分」を責めてしまい、
ますます勉強へのハードルが上がってしまうこともあります。

つまり、
子どもが「できない」と感じる背景には、
失敗の記憶・比較・まじめさゆえのプレッシャーが重なっていることが多い、
ということです。

「できる理由」を見せるって、どういうこと?

ただ「大丈夫、できるよ」と言うだけでは、
子どもからすると

「どこを見てそう言ってるの?」

と心の中でツッコミたくなるかもしれません。

ここでいう「できる理由」とは、
子どもの中にすでにある “小さな材料” を一緒に探して、
それを言葉や形にして見せていくことです。

例えば、こんなイメージです。

・前回より漢字テストのミスが1問減った
・前は20分かかっていた宿題が、今日は15分で終わった
・苦手な分野でも、自分から1問だけ取り組めた

こうした小さな変化は、
目を凝らして見ないと気づきにくいものです。

でも、その小さな変化こそが、
「あなたには、すでにこういう“できる理由”があるよ」
と伝えられる材料になります。

つまり、
根拠のない励ましではなく、
「ここが前と違うよ」「ここまでできているよ」と
具体的に示してあげることがポイントになります。

家庭でできる「できる理由」の見せ方 5つの工夫

ここからは、家ですぐに試しやすい工夫を5つ紹介します。
全部を一度にやる必要はないので、「これならできそう」と感じるものから取り入れてみてください。

1. 「できたことメモ」を一緒に書き出してみる

まずは、1日の終わりや週末に、
子どもと一緒に「できたことメモ」を作る方法です。

・宿題を自分から始められた
・計算ドリルで、前より速く解けた
・漢字を自分で見直して、1つ直せた

など、本当に小さなことで大丈夫です。

ノートの端や付箋でも良いので、
親子で一緒に3つだけ書き出してみてください。

声かけの例としては、

「今日はどんな“できた”があったかな? 勉強じゃなくてもいいよ」
「その中で、勉強に関係ありそうな“できた”ってどれかな?」

というように、
いきなり勉強に限らず、広めの視点から出してもらうと、
子どもも話しやすくなります。

こうすることで、
「自分にはできたことが1つもない」と感じていた子どもが、
「意外と、ゼロじゃないかもしれない」と気づきやすくなります。

2. 結果ではなく「変化」を具体的に言葉にする

テストや宿題のあと、
つい点数や終わったかどうかに目がいきがちですが、
自信づくりのポイントは「変化」に注目することです。

・前より計算のケアレスミスが減った
・自分で丸つけまで終わらせられた
・わからないところを聞けるようになった

こうした変化を見つけたら、
できるだけ具体的な言葉で伝えてみてください。

例)

「今日の計算、前より見直しできてたね。だから間違いが減ってるよ。」
「分からない問題を『ここ教えて』って言えたの、すごく大事な一歩だよ。」

「すごいね」「えらいね」だけで終わらせず、
何がどう変わったのかを一言添えるイメージです。

すると子どもは、
「あ、そうか。前とは少し違うんだ」
と、成長を自分ごととして受け取りやすくなります。

3. 目標を「今より半歩だけ」下げて、成功体験を作る

「次は80点を目指そう!」と、
急に大きな目標を掲げると、
自信がない子ほどプレッシャーを感じてしまいます。

そこでおすすめなのは、
目標を「今より半歩だけ」にすることです。

例)

・前回50点なら「次は55点を目指そう」
・宿題に60分かかっているなら「55分で終わったらラッキー」
・漢字ドリルが大変なら「今日は3問だけ、きれいに書く」

そして、達成できたら

「ちゃんと半歩、進んでるね。」
「小さいけど、大事な前進だよ。」

と、進んだ“幅”を一緒に確認します。

大きなジャンプではなく、
「半歩ずつ進めばいいんだ」と分かると、
子どもの表情が少しラクになることが多いです。

4. 苦手な教科は「できそうな1問」からスタートする環境づくり

苦手な教科は、
最初の1問目から難しい問題に取り組むと、
心が折れやすくなります。

そこで、家庭学習では

・一番やさしそうな問題から始めていいルールにする
・最初の1ページは「ウォーミングアップページ」と名前をつける
・親が「この1問は一緒にやろう」と、最初だけ隣に座る

といった工夫がおすすめです。

例えば算数ドリルなら、
今日は最初の3問だけ「サービス問題ゾーン」にしておいて、
「ここは自信をつけるゾーンだから、安心して解いてみよう」
と伝えてみるイメージです。

環境として「最初から頑張りすぎなくていい」と分かると、
子どもはスタートラインに立ちやすくなります。

5. 親は「答えを出す人」ではなく「一緒に考える人」になる

子どもの自信作りでは、
親のスタンスも大きな影響を持ちます。

「なんでこんな簡単なところを間違えたの?」
「もっとちゃんとやればできるのに」

こんなふうについ原因を探したくなることもありますが、
子どもからすると「できない自分のダメ出し」に聞こえてしまうことがあります。

代わりに、

「どこでつまずいた感じがした?」
「ここまでは自分でできてたね。どこから一緒に考えようか?」

というように、
一緒に問題を分解していくスタンスを意識してみてください。

親が「できていないところを指摘する人」から
「一緒に“できる道”を探す人」に変わると、
子どもは「失敗しても、ここに戻ってきていいんだ」と感じやすくなります。

それ自体が、子どもにとっての大きな“できる理由”になります。

まとめ:全部やらなくて大丈夫。まずは「一つの変化」を一緒に見つける

勉強に自信が持てない子に、
一気に大きな自信をつけてもらう必要はありません。

・「できたことメモ」を一緒に書く
・前より良くなった変化を具体的に言葉にする
・目標を「今より半歩だけ」にする
・やさしい1問から始められる環境を作る
・親が「一緒に考える人」になる

こうした小さな工夫を通して、
子どもは少しずつ「たしかに、前よりはできているかも」と感じていきます。

全部を完璧にやろうとすると、
親のほうが疲れてしまいます。

まずは、今日・明日のどこかで、
「前より良くなったところ」を一つだけ、一緒に見つけてあげてみてください。

その一つが、子どもにとっての
「自分にも、できる理由があるんだ」という大事なきっかけになるはずです。

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