生成AI利用に関する大規模な調査結果
特定非営利活動法人みんなのコードが提供する「プログルラボ みんなで生成AIコース」の利用データをもとに、日本教育工学会の研究報告集で共同研究の成果が発表されました。この研究は、児童生徒約1.7万人による55万件以上のAI利用ログと、教員97名へのアンケートを分析した、国内でも最大規模の調査です。
この調査から、特に注目すべき3つのポイントが見えてきました。
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継続利用でAIが「学びのパートナー」に
生成AIを短期間しか使わなかったクラスでは、子どもたちのAIへの指示や質問(プロンプト)が「翻訳」「要約」「単語検索」といった、AIの機能を確認したり、正解を求めたりするものが中心でした。しかし、28日以上継続して利用したクラスでは、「自分の作文への批評依頼」や「意見交換」「感謝の表現」など、対話を通じて思考を深めるような、より質の高い使い方が見られたそうです。 -
情報活用能力が高いほどAIを効果的に使える
ただ長く使えば良いというわけではなく、子どもたちの「情報活用能力」が高いクラスほど、生成AIを「学びのパートナー」として効果的に活用できているという、強い関連性が明らかになりました。「情報活用能力」とは、情報を探し、選び、正しく使いこなす力のことです。AIを操作するスキルだけでなく、この情報活用能力の育成が、AIの可能性を引き出す土台になると考えられます。 -
有害コンテンツの検出率は0.37%
約55万件の利用ログのうち、有害と検知されたコンテンツはわずか0.37%程度でした。そのほとんどは、小学生のひらがなの羅列のような誤記や、文脈による誤検知だったとのことです。自傷行為など深刻な内容はさらに少なく、0.0003%という結果でした。これは、教員による適切な見守りや指導があれば、学校での生成AI利用のリスクは十分に管理可能であることを示しています。
なぜこの研究が行われたのか
学校現場で生成AIの導入が進む一方で、実際にどのように使われているのか、その効果や安全性についての大規模なデータはこれまで多くありませんでした。この研究は、子どもたちがAIにどのような指示を出しているかという傾向だけでなく、先生方の指導の手応え、クラス全体の情報活用能力や雰囲気との関係性までを分析することで、生成AIを教育に効果的に取り入れるための条件を明らかにすることを目指しました。
小学生と保護者への影響、家庭でできること
今回の研究結果は、私たち保護者にとっても大きなヒントを与えてくれます。
AIは単なる「便利な道具」にとどまらず、子どもたちの思考力や創造性を育む「学びのパートナー」になり得るということです。そのためには、継続的にAIに触れる機会と、AIから得た情報を批判的に評価し、自分の考えを深めるための「情報活用能力」を育てることが大切だと分かります。
家庭でできることとしては、以下のような視点が考えられます。
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AIとの対話を促す
単に答えを検索するだけでなく、「どうしてそう思うの?」「もっと良い表現はないかな?」など、AIに問いかけ、対話を繰り返すことで思考を深める練習を促してみましょう。例えば、作文のアイデア出しや、調べ学習のまとめ方など、身近な学習活動に取り入れてみるのも良いかもしれません。 -
情報活用能力を意識する
AIが生成した情報も、鵜呑みにせず「本当に正しいのかな?」「他にどんな意見があるかな?」と考える習慣をつけさせましょう。インターネット上の情報と同じように、情報の出どころを確認したり、複数の情報源と比較したりする力を育むことが、AI時代を生きる子どもたちには不可欠です。 -
安全な利用環境を整える
学校での利用は先生の見守りがありますが、家庭で利用する際は、保護者が使い方を把握し、必要に応じてフィルタリングなどの設定を活用することも大切です。子どもが何に興味を持ち、どのようにAIを使っているのか、日頃から会話をする機会を設けましょう。
シンプルなまとめ
今回の調査研究は、生成AIが学校教育において、子どもたちの「情報活用能力」と「継続的な利用」が組み合わさることで、より深い学びを支援する可能性を明確に示しました。AIは上手に付き合えば、子どもたちの成長を力強く後押ししてくれる存在になるでしょう。私たち大人も、子どもたちの学びをサポートするために、AIとの新しい関わり方を理解し、見守っていくことが大切だと感じます。
出典:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000143.000015742.html)
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