中学受験が抱える3つの課題
株式会社スプリックスは、中学受験が子どもや親に与える影響について、定量・定性調査を実施しました。この調査から、中学受験が抱える主な課題が3つの視点から整理されています。
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子どもの問題: 長期的なプレッシャーや自己肯定感の低下、ストレスによる「12歳のメンタルクライシス」
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家庭の問題: 高額な教育費負担(教育費インフレ)や、SNSなどの情報による「中受信仰」の過熱化
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学びの環境問題: 受験科目に特化した学習による、多様な学習機会の損失
プロジェクト実施の背景
近年、日本では少子化が進む一方で、中学受験の競争はますます激しくなっています。首都圏では、およそ5.5人に1人の小学生が中学受験に挑戦しているというデータもあります(首都圏模試センター調査 2025年2月)。
このような状況の中で、教育費の負担増だけでなく、長期間にわたる受験勉強の重圧が、子どもたちの自己肯定感を失わせたり、精神的に疲れさせてしまう「12歳のメンタルクライシス」といった問題も浮上しています。
スプリックスは、「学ぶことに自信を持てない子どもたちの力になりたい」という思いから、この状況に対し社会全体で「中学受験のあるべき姿」を問い直し、子どもたちや親にとって健全な受験とは何かを考える「#中学受験は健全か」プロジェクトを始動しました。本日より特設サイトがオープンし、これらの課題について詳しく解説されています。
調査結果から見る子どもと保護者への影響
今回の調査では、中学受験を経験した中学1~3年生とその親、そして中学受験を経験していない同年代の親子を対象に、幅広い視点から話を聞いています。

子どもたちへの影響:心の負担と「12歳のメンタルクライシス」
調査で明らかになったのは、子どもたちが抱える大きな心理的負担です。志望校に届かないかもしれないというプレッシャーを、半数以上の子どもが経験していることが分かりました。また、友人との遊びや趣味の時間を我慢したり、勉強の目的が「親の期待に応えるため」になってしまう傾向も見られます。

勉強の目的を尋ねたところ、「親をがっかりさせたくない」と答えた子どもが50.5%と半数を超え、「勉強で努力したり、いい成績をとると親が喜んでくれるのがうれしい」が44.7%でした。一方で、「先生や親の期待に応えるのがストレスに感じるときもある」と答えた子どもも約3人に1人(32.0%)います。
さらに、親が9割以上「勉強に関わった」と回答しているのに対し、子どもは約半数が「もっと関わってほしかった」と感じており、親子の間に認識のズレがあることも分かりました。

インタビューでは、「遊ぶ時間がなくなったこと」(77.7%)が一番つらかったこととして挙げられています。親に隠れて友達と遊んだり、心ない言葉に傷ついたりする子どもたちの声もあり、多感な時期に大きな心理的負担を強いられている実態が浮き彫りになりました。

保護者への影響:高まる経済的・精神的負担
保護者の皆さんも、中学受験には大きな負担を感じています。平均で239万円もの費用がかかっており、約4人に1人が300万円以上を支出しているとのこと。

この高額な費用や、小学校低学年から受験を意識し始める家庭が多いことから、一度始めたら後戻りできない、失敗できないという心理的な重圧が親子にかかります。親の76.7%が受験に対して精神的負担を感じており、子どもへの強い言葉やコミュニケーションの摩擦の原因にもなっています。

親が後悔していることのトップは「子どもがストレスを抱えたこと」(25.2%)、次いで「習い事を辞めさせてしまったこと」(19.4%)が挙げられています。
学びの環境:受験特化による「学習ロス」
中学受験では、国・算・理・社の4教科が中心となることが多く、通知表の内容はあまり重視されません。そのため、受験科目以外の英語やその他の学習を中断したり、時間を減らしたりする家庭も多く見られます。

調査によると、受験経験者の子どもは、受験をしていない子どもと比べて平均勉強時間が平日で4倍、休日で6倍以上も多いことが分かりました。平均通塾頻度は週に4.5日にも上り、毎日塾に通う子どもも1割強います。
このように受験対策に特化した詰め込み教育は、子どもたちの多様な学習機会を奪い、「学びの多様性」の損失につながる可能性があります。
父親目線での考察
SPRIXの常石社長は、「学びの目的が『自己の成長』ではなく『親の期待に応えること』へとすり替わっている」と指摘しています。お子さんが「やればできる」という自信を持ち、将来の選択肢を広げられるよう、私たち親ができることは何でしょうか。
フリーアナウンサーの青木裕子さんとの対談で、常石社長は「質より量、量より頻度」で子どもを褒めることの大切さを語っています。結果だけでなく、日々の努力や小さな成長を積極的に認め、愛情をかけることが、子どもたちの「学びの自律性」や「内発的動機づけ」を育む土台になるでしょう。

青木さんも、周りの熱気に焦りを感じつつも、お子さん自身の「やってみたい」という気持ちを大切にした経験を語っています。大切なのは、周りの情報に流されすぎず、お子さん一人ひとりの個性やペースを見守り、サポートすることだと改めて感じます。
対談の全文はこちらで読むことができます。
まとめ
今回の調査は、中学受験が子どもと親に与える影響について、改めて考える良い機会を与えてくれました。受験はあくまで一つの選択肢であり、そのメリット・デメリットをしっかり理解した上で、お子さんにとって何が一番幸せな選択なのかを家族で話し合うことが大切です。
私たち親ができることは、お子さんの心を一番に考え、日々の成長を認め、愛情を注ぐこと。そして、多様な学びの機会を奪わないよう、バランスの取れた学習環境を整えていくことではないでしょうか。
出典:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000164.000045711.html)

