調査結果のポイント
今回の調査で特に注目すべき点は以下の通りです。
-
子どもの希望する学歴:日本の小学4年生は「未定」と答える割合が44%と海外(10%)に比べて非常に高く、大学院への進学希望も5%と海外(31%)より低い傾向が見られました。「未定」を除くと、大学以上への進学希望は62%で、現実的な見通しを持っていると言えます。
-
保護者の期待する学歴:日本の保護者は、子どもに「大学まで」の進学を期待する割合が77%と海外を上回る一方で、「大学院まで」を期待する割合は2%と極端に低く、子どもの希望(9%)をも下回る結果となりました。
-
学力と希望する学歴の関係:学力が高い子どもほど高学歴を希望する傾向は日本でも見られましたが、学力上位層(上位25%)でも大学以上への進学を希望する割合は76%にとどまり、海外(96%)より控えめでした。
-
保護者の価値観との関係:「他人に迷惑をかけない」「友人を大切にする」といった身近な交友関係を重視する日本の保護者は、そうでない保護者に比べて、子どもに大学や大学院への進学をあまり期待しない傾向がありました。
なぜ日本の保護者の「大学院進学」への期待は低いのか
日本は大学進学率が約6割に達する一方で、大学院進学率は主要先進国と比べて低い水準にとどまっています。この背景には、子ども自身の学力や進学希望に加え、保護者の意識が大きく影響している可能性が今回の調査で示唆されました。
子どもの学歴希望は「現実的」だが「控えめ」
小学4年生の時点で「未定」と答える子どもが多いのは、まだ将来を柔軟に考えている証拠かもしれません。しかし、「未定」を除いた数字を見ると、大学進学希望が現在の大学進学率とほぼ一致しており、子どもたちは自分たちの将来を現実的に見ていることがわかります。
しかし、学力が高い層であっても、海外の子どもたちと比べて大学や大学院への進学を希望する割合が低いのは、日本の教育観や社会環境が影響しているのかもしれません。

保護者の「大学院」への期待の低さ
最も顕著なのは、日本の保護者が子どもに「大学院まで」の進学を期待する割合がわずか2%と極端に低い点です。これは、子ども自身の希望(9%)をも下回っており、海外の保護者の期待(パネル5か国で41%、学校4か国で52%)と比較すると、大きな隔たりがあります。

この背景には、保護者の最終学歴が大学院でなくても、子どもにはもっと上の学歴を望む海外の傾向とは異なり、日本では保護者自身の学歴が子どもの希望とほぼ同水準である一方、保護者の期待はさらに控えめであるという特徴が見られます。

価値観が学歴への期待に影響
今回の調査では、保護者の価値観と学歴への期待の関係も浮き彫りになりました。
日本の保護者が多く選択する「他人に迷惑をかけない人」「友人を大切にする人」といった身近な交友関係を子どもに期待する保護者は、そうでない保護者に比べて大学以上への進学期待率が10ポイント以上低い傾向がありました。一方で、海外の保護者が重視する「社会のために尽くす人」「リーダーシップのある人」といった社会的な役割を期待する保護者は、学歴を重視する傾向が見られました。

このような、身近な人間関係を重んじる日本の価値観が、子どもに期待する学歴、特に大学院進学率が伸び悩む一因になっている可能性も考えられます。
親としてどう向き合うか
今回の調査結果は、日本の教育や社会が持つ独特の側面を教えてくれます。親として、子どもの将来に何を期待するかは人それぞれですが、今回の結果は、決して「日本の親が子どもの学力を軽視している」というわけではないと私は感じました。
むしろ、子どもが社会で幸せに生きていく上で、学歴だけでなく「人との関わり合い」を大切にする、という温かい眼差しがあるのかもしれません。もちろん、学力と希望する学歴には相関があることも示されていますので、基礎学力をしっかり身につけることの重要性は変わりません。
子どもが将来について考えるとき、親は、ただ高い学歴を押し付けるのではなく、子ども自身の興味や関心、そしてどんな人生を送りたいのかを一緒に見つめ、多様な選択肢があることを伝えていくことが大切だと改めて感じます。
スプリックス教育財団は、今後も子どもの進路選択に影響を及ぼす学力や保護者の意識について、詳細な分析を進めていくとのことです。
公益財団法人スプリックス教育財団の活動については、以下のウェブサイトで詳細を確認できます。
https://sprix-foundation.org/
出典:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000016.000152428.html)

