調査から見えた家庭のリアル
この調査は、発達特性(診断の有無にかかわらず)を持つお子さんを育てる保護者134名(母親108名、父親21名、その他5名)を対象に行われました。日頃から「育児を一人で抱え込んでいる」「夫婦で協力できていない」といった声が多く聞かれる中で、家庭環境と子どもの発達の関係を明らかにする目的で実施されたとのことです。
主な調査結果は次の通りです。
-
母親の多くが負担を抱え込む実態: 母親の76.0%が「自分だけが抱え込んでいる」と感じていることが分かりました。子どものこだわりや癇癪への対応(46.3%)、パートナーとの考え方の違い(35.2%)、自分の時間が持てないこと(30.6%)が、その主な理由として挙げられています。
-
父親の戸惑いと罪悪感: 父親からは「どう接すればいいかわからない」「任せきりで申し訳ない」「仕事で関われず罪悪感がある」といった本音が寄せられ、協力したい気持ちはあるものの、具体的な関わり方に迷いや戸惑いがある様子がうかがえます。
-
発達を後押しするカギは「安心・好き・余裕」: 子どもの発達が進みやすいと感じる環境として、「安心できる環境」(78.3%)が最も多く、次に「好き・得意の活用」(62.7%)、「養育者の余裕」(50.7%)が続きました。
-
発達を停滞させる要因は「疲労・ストレス」: 一方で、発達が停滞しやすいと感じる要因の1位は「養育者の疲労・ストレス」(82.8%)でした。次いで「特性に合わない環境」(76.1%)が挙げられ、家庭の負担や環境が子どもの成長に直接影響していることが示されています。



なぜ「夫婦で協力したいのにかみ合わない」のか
この結果から見えてくるのは、「夫婦で協力したいのに、なかなかかみ合わない」という多くのご家庭の姿かもしれません。母親は子どもの特性に対応することや、家庭内の様々な役割を一人で担う中で、心身ともに疲弊してしまうことがあります。
一方で、父親は仕事の忙しさから子どもとの関わりが少なくなったり、「どう関われば良いのか分からない」という不安から、一歩踏み出せないでいるケースも少なくないようです。お互いに子どもを大切に思う気持ちは同じなのに、すれ違いが生じてしまうのですね。
小学生のお子さんと保護者への影響
この調査では、家庭の環境が子どもの発達に直結していることが明らかになりました。特に、親御さんの疲労やストレスは、お子さんの発達を停滞させる大きな要因となり得ます。親が安心して過ごせる環境は、子どもが自分らしく伸び伸びと成長するための土台になるのです。
「安心できる環境」というのは、お子さん自身が「ここでなら大丈夫だ」と感じられる居場所のこと。それが家庭であれば、お子さんは新しいことに挑戦したり、自分の気持ちを表現したりしやすくなります。反対に、親が疲れていたり、ストレスを抱えていたりすると、お子さんもその雰囲気を敏感に感じ取り、心の安定に影響が出ることもあります。
家庭の安心を作る3つのヒント
今回の調査結果から、家庭の安心を整えるための具体的なヒントが3つ提案されています。どれも、日々の生活の中で少し意識を変えるだけで実践できることばかりです。
-
「決めつけない・否定しない」関わりを心がける(主に父親)
お子さんとの関わりの中で、ついつい「こうあるべきだ」と決めつけたり、お子さんの行動を否定したりしてしまうことはありませんか?特に父親に対しては、「怒らずに接してほしい」「できない日もあることを理解してほしい」という母親からの声が多く寄せられました。お子さんの言動をまずは「そうなんだね」と受け止める意識を持つことで、家庭全体の安心感がぐっと高まるはずです。 -
1日5分だけでも「関わりの時間」を意識してつくる(主に父親)
母親が父親に「もっと望むこと」として最も多かったのは、「子どもと過ごす時間を増やしてほしい」という要望でした。忙しい中でも、たった5分でもいいので、お子さんと向き合う時間を作ってみましょう。例えば、寝る前の絵本の読み聞かせや、学校であったことを少し聞く時間など、短い時間でも父親が積極的に関わることで、お子さんの心に安心感が育まれます。 -
子どもの「好き・得意」を活用する(父・母双方)
お子さんの発達が進みやすい条件の2位には「好き・得意の活用」が挙がりました。これは、お父さんもお母さんも実践しやすい関わり方です。お子さんが夢中になっていること、例えば工作や電車、絵本、歌など、その「好き」に寄り添って一緒に楽しむ時間を持つことで、お子さんは安心感を覚え、親御さんも自然と関わりやすくなります。お子さんの個性を伸ばす大切な時間になるでしょう。
完璧じゃなくていい、あなたらしい子育てを応援します
この調査を通じて、発達特性のあるお子さんを育てるご家庭には、目には見えないたくさんの努力があることを改めて感じました。そして、母親が抱える負担や父親の戸惑い、さらには親御さんの疲労やストレスが、お子さんの発達に大きく影響していることも浮き彫りになりました。
子育てに「完璧」を求める必要はまったくありません。今回紹介された小さな理解と協力が積み重なることで、お子さんはきっと一歩ずつ前に進んでいくはずです。今回の調査結果が、ご家庭の「安心の一歩」につながることを心から願っています。
自閉症の子の「できた!」を増やし、子育てを明るくするための情報サイト『自閉症総研ホルン』では、アンケート結果の自由記述など詳細が公開されていますので、興味のある方はぜひご覧ください。

- 『自閉症総研ホルン』アンケート結果詳細:https://horn2020.com/13132/
出典:PR TIMES

