新しい「TAO」で変わることの要点
今回の次世代版「TAO」の発表で、特に注目したいポイントをまとめました。
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世界標準のデジタルテスト基盤:フランスやアメリカ、日本(文部科学省のMEXCBTなど)でも使われている、信頼性の高いシステムがさらに進化します。
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誰もが公平に受けられる配慮:視覚や聴覚、体の動き、言語など、さまざまな特性を持つ子どもたちが、同じようにテストを受けられるように機能が大きく強化されました。
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大規模でも安定したシステム:たくさんの子どもたちが同時にテストを受けても、システムが止まらずにスムーズに動くように、土台となる仕組みが新しくなっています。
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他の学習システムとの連携:学校の学習管理システムなどと連携しやすくなり、テストの結果が、お子さん一人ひとりに合った学びにつながりやすくなります。
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動画や音声を使った問題:紙では難しかった、動画や音声を使った問題が出せるようになり、思考力や表現力など、より深い学力を測れるようになります。
なぜ今、「TAO」が新しくなるの?
近年、学校では「一人一台のタブレット」が導入され、学習のデジタル化が急速に進んでいます。学力調査や資格試験も、紙からタブレットやパソコンを使ったCBTへと移行する流れが世界的に加速しています。しかし、そのためには、たくさんの人が同時にアクセスしても大丈夫な、安定したシステムが必要です。
また、子どもたちの個性は多様です。視覚に障がいがある子、聴覚に障がいがある子、日本語が母国語ではない子など、すべての子どもたちが同じようにテストを受けられるような「公平な仕組み」が求められていました。
このような背景から、内田洋行はルクセンブルクのOAT社と協力し、より大規模で、多様な子どもたちに対応できる次世代のCBTプラットフォームの開発を進めてきました。OAT社が内田洋行グループに加わる形で、開発体制も強化されたそうです。
実際に、2025年に実施されたOECDの「生徒の学習到達度調査(PISA)」では、この次世代版「TAO」が採用され、世界106の国と地域で活用され、その信頼性が証明されました。
小学生の学びや保護者への影響
新しい「TAO」は、私たち小学生の保護者にとって、どんな意味があるのでしょうか。いくつかポイントを挙げてみます。
誰もが公平にテストを受けられる環境へ
これが一番大きな変化かもしれません。次世代版「TAO」は、国際的なウェブアクセシビリティ基準「WCAG 2.1 AA」に準拠し、さまざまな特性を持つ受検者に配慮した機能が搭載されています。

例えば、多言語対応のUI(画面表示)で、日本語以外の言語でテストを受けられるようになるほか、視覚支援(フォントサイズの変更、音声読み上げ、点字ディスプレイとの連携など)や聴覚支援(字幕の挿入、音量ゼロ設定など)も充実。体の動きが不自由な子どものために、一時保存・中断再開機能や、キーボード操作のみで完結する機能なども標準化されています。お子さんがどんな特性を持っていても、安心してテストに臨めるような配慮がなされるのは、私たち親にとって大きな安心材料です。
より実践的な力を測れるテストに
動画や音声を使った問題は、紙のテストでは難しかった「聞く力」や「状況を判断する力」を測るのに役立ちます。例えば、理科の実験動画を見て考察を記述したり、英語のリスニング問題で音声を聞いて解答したり、といった出題が可能になります。これにより、知識だけでなく、実際に使える力が評価されるようになり、お子さんの「生きる力」を伸ばす教育にもつながるでしょう。
安定したシステムで安心して受験
大規模な学力調査や資格試験で、システムトラブルが起きると子どもたちは集中できません。新しい「TAO」は、たくさんの人が同時にアクセスしても安定して動く「クラウドネイティブ構造」に刷新されました。これにより、例えば全国規模で100万人もの小学生が同時にテストを受けても、システムが安定して稼働するようになります。私たち親としては、子どもたちが安心して実力を発揮できる環境が整うのは嬉しいことです。

将来の不正監視やAI活用も視野に
今後は、国家資格試験のような高いセキュリティが求められるオンライン試験に対応するため、不正監視機能の拡張も計画されています。また、AIを活用して問題作成をサポートしたり、問題文のジェンダーバイアスをチェックしたりする機能も検討されており、より質の高いテスト環境が目指されています。
まとめ
内田洋行が発表した次世代版「TAO」は、世界中の子どもたちが公平に学びを評価できる、まさに「世界標準テスト基盤」と言えるでしょう。多様な子どもたちへの配慮、安定したシステム、そして新しい形式のテスト問題は、これからの小学生の学びを大きく支えることになりそうです。
私たち親としては、このような教育のデジタル化の動きに目を向けながら、お子さんが新しい学習環境にスムーズに適応できるよう、日頃からデジタルデバイスに触れる機会を適切に与えていくことも大切だと感じます。この進化が、すべての子どもたちの可能性を広げる未来につながることを期待しています。
出典:PR TIMES(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000144467.html)

