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「あの子の教材を、みんなの教材に」インクルーシブ教育教材コンテスト入賞作品発表

目次

すべての子どもに開かれた学びを育む「インクルーシブ教育教材コンテスト」

「すべての子どもたちに、学びの喜びを届けたい」

そんな想いから生まれた「第3回インクルーシブ教育教材コンテスト」の入賞作品が先日発表されました。このコンテストは、全日本学校教材教具協同組合と筑波大学附属大塚特別支援学校が共催し、「あの子の教材を、みんなの教材に」という素敵なテーマのもと、子どもたちの「困った」に寄り添うアイデアが詰まった教材を募集する取り組みです。

コンテストの様子

現場の知恵が光る195点の応募作品

「先生方が日々の教育現場で生み出す素晴らしい教材や実践が、もっと多くの場所で共有されたらいいのに」――そんな願いから、このコンテストは「発信」「評価」「学び合い」をキーワードに企画されました。教員の皆さんの多忙さや情報共有の難しさといった背景を乗り越え、互いに学び合える場を作ることが目的です。

2025年8月1日から11月30日までの募集期間中には、就学前から高校生まで、知的障害や発達障害の分野を対象に、なんと195点もの意欲的な手作り教材が寄せられました。これらは厳正な審査を経て、最優秀賞1点、優秀賞5点、特別賞5点、そしてオーディエンス賞1点が選ばれました。

これらの受賞作品は、今後商品化の可能性も検討されるとのこと。また、応募された教材の情報は広く共有される予定です。

入賞作品から学ぶ、子どもたちの「できた!」を引き出す工夫

それでは、実際にどのような教材が入賞したのか、いくつかご紹介しましょう。どれも、子どもたちの目線に立って作られた、温かい工夫が感じられます。

就学前の部

  • 「保育のひみつ道具」鈴木 真耶様

    保育のひみつ道具

    伝えたいことを「見える化」し、子どもたちが遊びの延長のように楽しく活動に参加できる教材です。視覚的に分かりやすくすることで、子どもたちの主体性を大切にしながら、スムーズに活動を進めることができます。まるで魔法にかかったようなワクワク感が、自然に気持ちを切り替える手助けになるでしょう。

小学生(知的障害)の部

  • 「インクルボタン」小田原市立豊川小学校 赤松 陽子様

    インクルボタン

    ボタンの付け外しを練習するための教材です。単にボタンを付け外しするだけでなく、その「過程を理解する」ことに重点を置いています。子どもたちが段階的にスキルを身につけられるよう、細やかな配慮がされています。

  • 読みきかせ絵本「ひとりでうんち」愛知県立瀬戸つばき特別支援学校 森 美幸様

    読みきかせ絵本「ひとりでうんち」

    トイレでの排便に苦手意識を持つ子どもたちのために作られた絵本です。トイレでうんちをすることへの心理的なハードルを少しでも下げることを目指し、楽しく読み聞かせができる内容になっています。親としては、この絵本を通じて子どもが安心してトイレと向き合えるようになるのは嬉しいですね。

小学生(発達障害)の部

  • 「動かすからわかる、計算サポーター」広島大学大学院 人間社会科学研究科 山下 祥代様

    動かすからわかる、計算サポーター

    数の合成分解、筆算、九九の想起をサポートする3種類の教材で構成されています。ブロック操作を通じて、数概念や計算手続きを理解し、スムーズに計算できるようになることを目的としています。目で見て、手で動かすことで、算数の苦手意識が和らぐかもしれません。

  • 「プレートベースボール ー経験差を越えて、誰もが参加できるベースボール型学習教材ー」大阪市立北粉浜小学校 前島 有希様

    プレートベースボール

    経験や技能の差に関わらず、誰もがベースボール型学習に参加できることを目指して開発された教材です。ボールが予測可能な高さに跳ね上がる仕組みで、運動が苦手な子どもでも成功体験が得られる工夫がされています。体育の授業で、全ての子どもが主体的に関われる環境を作るという視点は、とても大切だと感じます。

中学生の部

  • 「ビジョントレーニング (ペットボトルキャップキャッチャーでキャッチしよう!)」新発田市立佐々木中学校 西野 陽子様

    ビジョントレーニング

    ペットボトルキャップをキャッチャーで取ることで、追視(動くものを目で追う力)と運動を連動させてトレーニングする教材です。楽しみながら、目と体の協調性を養うことができます。

  • 「フロアクライミング」福井県立盲学校 玉本 憲司様

    フロアクライミング

    視覚障害や聴覚障害、知的障害など、様々なニーズを持つ子どもたちが、安全に、楽しく、自分のペースで挑戦できる運動教材として開発されました。全身の筋力だけでなく、知力やバランス感覚など、多様な力を楽しみながら伸ばすことを目指しています。

高校生の部

  • 「スカットボッチャ」上越特別支援学校 伊藤 勇夫様

    スカットボッチャ

    ボッチャのルールや得点計算が難しいと感じる生徒のために、スカットボールの台をヒントに作られた教材です。Excelと電子黒板を使って得点を分かりやすく表示するなど、誰もが競技を楽しめるよう工夫されています。

  • 「ぼたんつけの練習」神奈川県立保土ケ谷支援学校横浜平沼分教室 幸田 京子様

    ぼたんつけの練習

    裁縫が苦手な生徒でも扱いやすいよう、大型の模擬ボタン付け教材として作られました。針と糸を使った細かい動きが難しい段階でも、将来の自立生活に向けて、ボタン付けや縫い方の基礎を身につけられるようサポートします。

福祉・一般の部

  • 「オニドレ(おにぎりどーれだ!?)」伊東 秀敏様

    オニドレ

    「〇〇なおにぎり」といった曖昧な文章から、最も適したおにぎりカードを選ぶカードゲームです。楽しみながら、抽象的な概念を理解したり、相手の意図を想像したりする力を育むことを目的としています。家庭でのコミュニケーションツールとしても面白そうですね。

  • 「TETTO」学校法人 聖書学園 千葉英和高等学校 澤井 美波様・飯嶋 美香様(代表生徒)

    TETTO

    手話に興味があっても、なかなか始めるきっかけがないという声に応え、手話を楽しく学べる手話版UNOです。身近なゲームを通じて、手話の啓発活動にも貢献しています。

家庭での学びのヒントに

このコンテストの入賞作品は、教育現場の先生方が子どもたちのためにどれだけ心を砕いているかを教えてくれます。一つ一つの教材には、「この子がもっと楽しく学べるように」「この子の困りごとを解決したい」という温かい想いが込められています。

私たち保護者も、これらのアイデアからヒントを得て、家庭での学習やお子さんとの遊びに活かせるかもしれません。市販の教材だけでなく、身近な材料で手作りすることの楽しさや、子どもの「できた!」を増やす工夫を考えるきっかけにもなるでしょう。

すべての情報が共有されることで、子どもたちの学びの選択肢が広がり、一人ひとりが自分らしく成長できる社会に繋がっていくことを期待しています。


関連情報

出典:PR TIMES

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