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小学生の「世界とつながる学び」カンボジア報告会から見えた、平和教育の新しい形

目次

カンボジア活動報告会の要点

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトは、先日、年末年始に実施したカンボジアプロジェクトの活動報告会を開催しました。この報告会で特に印象的だったのは、広島市立広島特別支援学校の福富茂樹教諭が共有した、子どもたちの変化と学びの姿です。

  • 「支援される側」から「貢献する側」へ:特別支援教育の新しいグローバル探究モデルが提示されました。

  • 全国50校が参加:小・中・高・特別支援学校・フリースクールなど、全国の学校で制作された教材がカンボジアへ届けられました。

  • 学びと心のケア:現地では、避難民収容施設となった寺院などで、これらの教材が学びと心のケアのために活用されました。

「祈る」だけでなく「行動する」平和学習へ

福富教諭は、長年広島の学校で経験してきた平和学習に「物足りなさ」を感じていたそうです。毎年、原爆の被害を学び、折り鶴を折り、平和を祈る。その大切な営みの中で、「平和構築のための具体的な行動」への一歩が足りないのではないか、という思いがあったといいます。

戦争の苦しみや希望を描いた壁画を鑑賞する人々

今回のカンボジア渡航で出会ったのは、避難生活で日常を失い、表情に重さを抱えた子どもたちでした。福富教諭は、現地で行動すること、そして机上の理解だけでなく、リアルに寄り添うことこそが平和への第一歩だと語っています。さらに、励ましに行ったはずの自分が、逆に癒され、力をもらったという実感があったとのこと。これは、一方通行の支援ではなく、わずかでも「お互いに良い影響を与え合える関係性」に触れたからだと振り返っています。

平和学習を「記憶の継承」だけで終わらせず、「今日からの行動」へつなげていく。そして、祈りを、人との関係性へ、折り鶴を、学びの往復へと発展させる。福富教諭の報告は、これからの平和学習のあり方を問いかけるものでした。

生徒たちの変化と「世界とつながる学び」

広島市立広島特別支援学校では、2025年8月から「世界とつながる学びプロジェクト」に参画しました。教職員向けの研修や生徒向けの講演を経て、子どもたちは「自分に何ができるか」を考え、教材やプレゼントの制作に取り組んだそうです。

生徒と大人が作品を持って集合写真

このプロジェクトに参加した一番の理由は、普段「支援される側」になりやすい子どもたちが、世界に対して「貢献できる側」に回れると福富教諭が確信したからです。実際に、教材を制作し、それが現地で活用されることを知る過程で、生徒たちの「自己有用感」(自分が役に立っているという感覚)や「自己効力感」(自分にはできるという感覚)がはっきりと伸びたとのこと。

また、同校の生徒が作った平和ポスターがルワンダへ渡り、現地のメッセージが加わって広島に戻ってきたエピソードも共有されました。「自分たちの作品が海を越えて役に立った」という実感が、次の制作活動への大きなモチベーションになったそうです。

カンボジア現地での教材活用と子どもたちの笑顔

福富教諭は現地で、全国の児童生徒が作った教材を使った授業を実践したり、寺院での炊き出しや物資支援、地雷啓発活動などを行いました。

特に印象的だったのは、避難民収容施設で出会った、寂しそうに一人で過ごす男の子の話です。最初は表情が暗く、紙飛行機を渡しても笑顔はすぐに消えてしまったそうです。しかし、日本の小学生たちが作った福笑いやけん玉、魚釣りゲームといった教材で遊び、授業を重ねるうちに、最後には「とびっきりの笑顔」を見せてくれたといいます。福富教諭は、その瞬間を「一瞬でもつらい気持ちが和らいだなら、少しは貢献できた」と振り返っています。

寺院のような屋内で目隠しゲームをする大人と見守る子どもたち
室内でアートクラフトを楽しむ子どもたち

そして、この笑顔を引き出したのは、現地の大人の力だけでなく、「日本の子どもたちがつくった教材があったからこそ」だと強調されていました。遠く離れた日本の小学生が作ったものが、海の向こうの子どもの心に光を灯した、素晴らしい瞬間ですね。

歴史と向き合い、未来へつなぐ学び

福富教諭は、カンボジアの人々が植民地支配、戦争、大量虐殺、内戦、地雷の残存、格差拡大といった長期にわたる困難を生き抜いてきた現実に触れ、「個人の努力ではどうにもならない歴史の連続」だったと述べています。

また、地雷除去と教育の象徴であるアキ・ラー氏(カンボジア地雷博物館設立者)との出会いも報告されました。同じ日本人として、全く異なる時代体験の落差に言葉を失い、「他者のために生きる覚悟」を突きつけられたといいます。

木造家屋の前で交流する大人と子供たち
「地雷注意」の標識と地雷除去作業の様子

家庭でできること:小さな一歩を大切に

福富教諭は、今後の行動指針として次の3点を掲げています。

  1. 「小さな関係性」を丁寧に築く
  2. 学び続け、問い続ける
  3. 教育で「次の世代」に繋ぐ

「優れた制度より、地味で静かで穏やかな人と人との関係性」を信じ、仲間として関わり続けることが希望だと語っています。

私たち親も、子どもたちが世界の出来事に目を向けるきっかけを作ってあげられるといいですね。例えば、ニュースで海外の話題が出たときに一緒に考えたり、絵本や図鑑で異文化に触れたり。すぐには大きな貢献ができなくても、まずは「知ること」から始めることができます。そして、身近な人との「小さな関係性」を大切にすること。それが、世界をより良くしていく第一歩になるのかもしれません。

まとめ:子どもたちの可能性を広げるグローバル教育

今回のカンボジア活動報告会は、子どもたちが自ら行動し、世界とつながることで、大きな成長を遂げる可能性を示してくれました。特に、普段は支援される立場の子どもたちが「貢献する側」になる経験は、自己肯定感を育む上で非常に価値のあることだと感じました。

広島市立広島特別支援学校では、2月末に現地での活動の様子を写真や動画で共有するフィードバック講演会を予定しているとのこと。自分たちの学びが誰かの力になったことを実感することで、次の行動へとつながる良い循環が生まれることでしょう。

子どもたちが世界に目を向け、自分にできることを見つける。そんな学びの機会を、私たち親も応援していきたいですね。

感謝のメッセージが書かれた紙を持つ人々

出典:PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000074.000166170.html

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