HADOが小学校の体育授業に登場
茨城県つくば市にある「つくば市立みどりの学園義務教育学校」の幸田佳久教諭が、ARスポーツ「HADO」を取り入れた体育科の授業実践について、第51回全日本教育工学研究協議会全国大会で発表しました。
この取り組みは、小学5年生の体育科単元「HADOイベントプロジェクト」の一環として行われたものです。子どもたちが「どうすれば誰もが楽しめるHADOにできるだろうか」という課題に挑戦し、授業を作り上げていきました。
ARスポーツ「HADO」ってどんな遊び?
「HADO」は、頭にヘッドセット、腕にセンサーを装着して遊ぶ、新しいタイプのスポーツです。現実世界にデジタルなエナジーボールやシールドが出現し、まるでアニメの主人公になったかのように体を動かして対戦します。
運動能力だけでなく、チームで作戦を立てる「考える力」や「仲間と協力する力」も自然と育まれるのが特徴です。世界39カ国で楽しまれているそうですよ。
授業での工夫と子どもたちの反応
今回の授業では、「運動の技能や戦術的な思考を高めるとともに、誰もが楽しめる運動・スポーツの在り方を考えたり、他の運動に生かしたりする力を育む」ことを目標に掲げました。
子どもたちはグループごとに、HADOの「パラメーター調整」を行いました。これは、エナジーボールの大きさや速度、発射回数などを個々に設定できる機能です。この調整や役割分担を工夫することで、運動が得意な子も苦手な子も、みんなが楽しめるように考えたのです。

授業後には、子どもたちからたくさんの感想が寄せられました。主な傾向は次の通りです。
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協力・作戦の楽しさ: 「仲間と協力するのが楽しい」「作戦を考えるのが面白い」
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公平性: 「男女の力の差がない」「運動が苦手でも楽しめる」「障害があってもできそう」
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ゲーム性: 「エナジーボールを打つのがゲームみたい」「疲れを忘れるほど楽しい」
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成功体験: 「当てられると嬉しい」「シールドで守れた」「点が入った瞬間が最高」
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新規性: 「未来スポーツをやっている感じ」「いつもの学校体育では味わえない体験」
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設定調整: 「パラメーターで戦い方が変わる」「自分たちで設定できるのが面白い」

特別支援学級との交流も実現
さらに注目すべきは、別の日に5年生のクラスが、4年生の特別支援学級の子どもたちと一緒にHADOを楽しんだことです。5年生の児童は、機材の装着方法やエナジーボールの操作方法を丁寧に教え、4年生の児童もすぐに慣れて積極的に参加したそうです。
幸田教諭は「5年生は教え方がとても上手で、特別支援学級の子どもたちも楽しそうに取り組んでいました。こういう姿が、みんなで一緒に学ぶインクルーシブ教育の理想的な形だと感じます」とコメントしています。

保護者として考える、新しい体育の可能性
つくば市立みどりの学園義務教育学校の中村めぐみ教頭は、「HADOの体育科における教育活用には、次期学習指導要領で求める多様性の包摂を実現できる可能性を強く感じています。身体能力の差を気にせず、運動技能を自分で調整できる点は、アダプテッドスポーツ(誰もが楽しめるように工夫されたスポーツ)に近いでしょう」と話しています。
子どもたちがHADOを通じて、技能の優劣に関わらず声を掛け合い、戦略を相談する場面が多く見られたとのこと。これは、体育の授業で育みたい「思考力」や「協働性」といった大切な力が伸びている証拠だと感じます。
私自身も、子どもたちの体育の授業が、単に運動能力を競う場だけでなく、「どうすればみんなで楽しくできるか」を考える場になることは、これからの社会を生きる上でとても大切な経験になると考えています。
まとめ
ARスポーツ「HADO」の体育授業での活用は、子どもたちが運動の得意・不得意に関わらず、協力しながら楽しく体を動かし、考える力を育む素晴らしい機会を提供しています。特に、通常学級と特別支援学級の子どもたちが共に活動する姿は、インクルーシブな学びの可能性を大きく広げるものと言えるでしょう。
これから、学校の体育がどのように変わっていくのか、引き続き注目していきたいと思います。
関連情報
今回発表が行われた「第51回全日本教育工学研究協議会全国大会」は、2025年11月14日(金)~15日(土)につくば国際会議場で開催されます。教育におけるテクノロジー活用に関心のある方は、以下の大会公式サイトをご覧ください。
出典:プレスリリース

